第31期会長 横野 泰之
New Year Annual Message -Beginning of A New Era-
Yasuyuki Yokono
明けましておめでとうございます。会員の皆さまにおかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。令和の時代となって初めてのお正月を迎え、東京オリンピックの開催等、様々な新しい事が起きる2020年代の始まりです。
可視化情報学会としては、2019年7月に第47回 可視化情報シンポジウムを開催しました。法人化30周年にあたり、可視化情報学会の誕生を振り返り、会長経験者5名から今後の学会について語っていただきました。2020年の第48回は鹿児島にて開催します。学会が生まれて50年という大きな節目となる第50回が目前に迫っており、これを見通した開催計画を立案していきます。和文論文集、英文論文集(JOV)、学会誌の発行という学会の基本機能を着実に実行し、講習会の一層の充実も図る予定です。可視化技術に関わる研究者・教育者・企業関係者・学生の交流の場を提供する場として、2018年度より衣替えを行ったビジュアリゼーションワークショップにもご期待下さい。
可視化情報学会が関係する国際学会、ISFV(International Symposium on Flow Visualization), ISPIV(International Symposium on Particle Image Velocimetry), FLUCOME(Fluid Control, Measurements and Visualization), ASV(Asian Symposium on Visualization), ISUD(International Symposium on Ultrasonic Doppler Methods for Fluid Mechanics and Fluid Engineering)について日本開催を視野に入れ、中長期的な観点でサポート委員会を構成します。2020年にISUD12(Kobe, Sep.14-17, 2020)を、2023年にASV17を日本で開催する事が決定し、他のシンポジウムについても日本のプレゼンスの強化を図っていきます。なお、私がチェアーを務めるISTP31 (31st International Symposium on Transport Phenomena, Honolulu, Hawaii, Oct. 13-16, 2020)も可視化情報学会の協賛行事として準備を進めていきます。
日本は長く「科学技術立国」をうたってきましたが、新興国を含め世界各国が政策的にも科学技術に注力しており、相対的に我が国の科学技術における国際的地位は下がってきています。論文数が量的にも質的にも低下し、博士課程への進学者が低下するなど、今後人口減少が進む中、将来の研究者コミュニティの持続が危ぶまれています。一方で、第四次産業革命が進展し社会・産業構造の変革が進み、イノベーションが単独の学術に起因するより異分野との境界領域や柔軟な応用によって生まれる等、そのあり方にも変化が現れています。科学技術研究のグローバル化が進んでいることも合わせて、これからの研究者には,研究遂行能力だけでなく、マネージメント、国際的ネットワーク構築、他分野や異なる立場の理解等、多彩な能力が求められています。可視化情報学会には、多様な学術・専門分野を背景とする方々が可視化という手段を介して集まっており、本学会の特徴である学際性や多様な価値の理解、グローバルな取り組みは今の時代に求められているものだと思います。このような特徴を再認識して継続的な活動に繋げたいと考えております。若手・中堅研究者への働きかけやシニア研究者にも活躍し続けていただける仕組みを考える必要があります。多様な学術が存在する中で、特徴ある学会として求心力を維持し続けるには、それぞれの学術の発展に伴う、可視化情報分野における新たな展開が欠かせません。将来の可視化情報に関する研究の柱の一つとなるような挑戦的な研究に期待をしており、可視化情報学会としての取り組みも必要と思っています。
皆さまの新しい時代における、益々のご健勝とご発展を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。