第21回可視化フロンティア「PSP/TSP講習会2015~蛍光燐光による定量可視化」

~可視化情報学会CPDプログラム(技術士/JABEE継続教育)~

概 要

本講習会では画像による流れの可視化を基礎技術とした,蛍光燐光による定量可視化に関する技術情報を提供することを目的としています.

PSP(感圧塗料)/TSP(感温塗料) システムでは,センサ分子の発光を捉えて簡単な画像処理を施せば何らかの分布情報が得られる,ということは良く知られています.しかしながら,市販システムとして普及している技術ではないため「どこで,どのようなセンサ分子(塗料)やバインダを入手できるのか」「どのように塗布すれば良いのか」すら,広く認知されているとは言えない状況です.

画像輝度の強弱分布など,何らかの「もっともらしい」データを得ることができます.正しい結果であると信じたいところですが,実は“もっと正しい”結果を得ることができるかもしれません.視覚的に得られる定性的な情報認識に留まり,定量的で信頼できるデータとして理解・活用できていないかも知れません.得られた評価結果に,実は大きな落とし穴があるかも知れません.塗料,ポリマー,光源やカメラの選び方,使い方など,いろいろなパラメータの考え方はどうでしょうか?

また,技術を正しく理解すれば,学術論文に書かれている複雑な手法を用いなくても,もっと簡便に得られる実用的な情報を適切に解釈し,研究・開発に活用できます.

本講習会では,ニーズの高まりつつある,蛍光・燐光によるスカラー量の定量可視化計測について,よりよく理解し,適切に活用するためのノウハウと技術情報を提供します.また,講義内容を反映した蛍光燐光計測の実演を行い,論理的+実践的・直感的な理解を促進します.

企業・大学等の研究者,技術者,大学院生などのうち,流れの可視化計測をこれから実施しようとされている方,実施現場でお困りの方,計測データの処理方法を知りたい方,これまで以上に活用したい方を対象としています.

本講習会は技術士やJABEEの継続教育に関する可視化情報学会CPDプログラムの第21回目として位置づけられており,全ての講習会受講者に講習会修了証が発行されます.

日 時:2015年12月16日(水) 9:10 – 18:00(9:00開場)

場 所:LMJ東京研修センター3階大会議室

アクセス:都営地下鉄三田線 水道橋駅下車 徒歩3分

定 員:60 名


プログラム(予定):

詳細プログラム

9:10~11:00 有機系機能性分子の光学特性と試料作成法 (愛知工業大学 江上泰広)

この講義ではPSP / TSP計測の原理について理解する.蛍光燐光のスペクトルはWEB等で探すことができるものもあるが,酸素分圧や温度に対する蛍光・燐光特性データベースはない.この講義では感圧,感温色素として用いられる代表的な蛍光/燐光物質の光学物性とその特徴について解説する.またPSPとTSPは色素とポリマー,それらを溶解する溶媒の組み合わせや成膜方法,色素の濃度を変化させることで発光強度や,圧力/温度感度などの特性が大きく変化する.実験内容に応じて,どのPSP, TSP,ポリマーを選択すれば良いのか,実験計画を立てる上で参考になるように,実践的なガイドラインを示す.

また,代表的なPSP / TSPの作成方法について理解する.最も基本的なポリマータイプ,高速応答試験に適した陽極酸化タイプなどについて説明する.作成上注意すべき点や特性が変化する要因などについても述べる.またPSP/TSPを模型に塗布する方法などの実践的なテクニックについても解説する.さらに陽極酸化被膜の作成方法と注意点,陽極酸化被膜に適用可能な色素の種類と付着方法についても述べる.また主要な色素やポリマー,溶媒の購入先についても紹介する.

11:10~12:00 ハードウェア (AIST 染矢聡)

蛍光燐光による定量可視化やその他の光学的可視化に利用可能なハードウェアとその特徴,実際に計測を行う上で必要となる様々な実践的な注意事項を紹介する.主としてパルスレーザーを利用するPIVと異なり,蛍光・燐光の可視化では様々な種類の光源が活用されている.逆にいうと,新規導入を検討する際に,どういうスペックの機器があれば十分なのかわからない.様々な種類のカメラがあるが,画素数などのスペックには差がなく,何に基づいて機器選定を行うと良いのかわからない.この講習では蛍光燐光計測に用いる各種ハードウェアについて,実際に実験で活用する上での諸注意を各機器の特性に基づいて実践的に解説する.また,既存のPIV用ハードウェアをPSPTSPに有効活用する方法についても解説する.

13:00~14:30 強度法による圧力分布計測基礎(愛知工業大学 江上泰広)

PSP/TSPについて,実験方法,較正方法について述べる.最も広く使用されている強度法に関し,計測実施時に必要な注意事項について紹介する.例えば,PSPの発光画像をどの程度の輝度分布画像としてカメラで計測すれば良いのか,精度・信頼性向上のための実用的かつ簡易的な手法など,実際に計測時に問題となる事項ついて解説する.色素の劣化や温度分布などのPSPの誤差要因に関しても説明し,計測結果に与える影響の度合いや低減手法について概説し,強度法によるPSP計測における基礎事項を一通り取得する.

14:40~16:30 無機機能性分子の光学特性 と寿命法による温度分布計測基礎 (AIST 染矢聡)

高温条件での測定に多用される無機系センサ物質の光学物性とその特徴について解説する.具体的には発光スペクトル,発光強度,寿命,酸素等のガス成分や温度などのスカラー量依存性について情報を提供する.これらの物質の成膜方法は有機系センサ物質の場合と全く異なるため,その成膜方法及び活用方法についても解説する.また,主要な無機センサ物質の購入先等についても紹介する.

温度計測について,実験方法,較正方法とその特徴を紹介する.物体表面の温度に限定せず,流体中の温度計測について解説する.また,測定法の代表的なアプローチの一つである寿命法について,利用するカメラごとの寿命計算方法を学んだあと, 実際に計測を行う上で必要となる様々な実践的な注意事項を紹介する.

例えば周囲からカメラに入る背景光の影響,その影響のキャンセル方法など誤差低減の工夫について紹介する.また,励起光強度に依存しないと言われる寿命法において,励起光強度の揺らぎがどの程度測定結果に影響するのか,理論と実測上の影響因子について理解する.これらの理論的かつ実践的な理解により,ノイズレスな可視化画像と定量データを得るためのノウハウを取得する.

16:45~18:00 PSP/TSP FastKitによる講習内容実演・事例紹介(染矢聡,江上泰広)

PSP/TSPを用いた実験を手軽な装置を用いて実演します.また,安価に入手可能な光源やセンサに関する情報を提供します.この実演によって,実際にどの程度の光学的な応答が得られるのか?を体感することができます.また,実演を参考にすれば,本格導入前の簡単な予備実験を行うことも可能となります.更に,基礎的情報とは対極的に,蛍光燐光による定量可視化計測によって,世界最先端の技術レベルでは何を測れるのか,どんなことまで視えるのか,最新技術の現状と可能性についても紹介します.

学会講演会等における機器展示では蛍光燐光実験の実演を目にする機会が全くありません.本講習会では専用キットを新規に構築します.

(※本講習会は可視化情報学会PSPTSP研究会の目指す普及・教育活動の一環として実施されます)

参加費:

可視化情報学会 正会員/賛助会員 10,000円

可視化情報学会 学生会員 5,000円

(協賛学会員は非会員です.申込み時に入会を申請し,会員価格で参加することが可能です.)

非会員一般 25,000円

非会員学生(修士まで)10,000円

(非会員価格での参加者は講習会開催後に学会に入会できます.その際,入会費と初年度年会費は無料とします.過去に入会歴のある方は対象外とします.)

支払方法:

クレジットカード決済または銀行振り込みによる事前支払でお願いいたします.
ただし,民間企業については請求書の発行も可能です.
万が一ご出席がかなわなくなった場合も規定通りの参加費が発生致しますので,ご了承ください.その場合,代理の方のご参加が可能となります.

受講申込:


(社)学会支援機構による申し込みページ

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クレジットカードでの決済は,申し込みと同時に行う必要があります.カード決済をご検討の方は,申し込み時にお手元にカードをご用意の上,手続きを行ってください.

申込期限:

2015年12月10日(木)(予定)ただし、定員に達した場合、早期に締め切ることがあります.

連絡先:

産業技術総合研究所 染矢 聡

E-mail: s.someya@aist.go.jp

主催・協賛

主催:可視化情報学会

協賛(予定):

ターボ機械協会,土木学会,日本航空宇宙学会,日本船舶海洋工学会,日本伝熱学会,
日本燃焼学会,日本流体力学会,日本混相流学会