第37回可視化フロンティア「PSP/TSP講習会2019~蛍光燐光による定量可視化」

~可視化情報学会CPDプログラム(技術士/JABEE継続教育)~

概要

本講習会では画像による流れの可視化を基礎技術とした,蛍光燐光による定量可視化に関する技術情報を提供することを目的としています.PSP(感圧塗料)/TSP(感温塗料) システムでは,センサ分子の発光を捉えて簡単な画像処理を施せば何らかの分布情報が得られる,ということは良く知られています.しかしながら,市販システムとして普及している技術ではないため,材料,ハードウェアなどの初歩的な点さえも広く認知されているとは言えない状況です.画像輝度の強弱分布など,何らかの「もっともらしい」データを得ることはできます.正しい結果であると信じたいところですが,実は“もっと正しい”結果を得ることができるかもしれません.視覚的に得られる定性的な情報認識に留まり,定量的で信頼できるデータとして理解・活用できていないかも知れません.得られた評価結果に,実は大きな落とし穴があるかも知れません.素材から測定条件まで,いろいろなパラメータの考え方はどうでしょうか?

本講習会はPSPTSP研究会の活動の一環として,ニーズの高まりつつある,蛍光・燐光によるスカラー量の定量可視化計測について,よりよく理解し,適切に活用するためのノウハウと技術情報を提供します.特に,圧力,温度の可視化計測に関するノウハウと技術情報を提供します.最新の技術動向,測定限界や最新事例についても俯瞰し,研究・開発への導入を支援します.企業・大学等の研究者,技術者,大学院生などのうち,流れの可視化計測をこれから実施しようとされている方,実施現場でお困りの方,これまで以上に活用したい方を対象としています.

本講習会は技術士の継続教育に関する可視化情報学会CPDプログラムの第37回目として位置づけられており,講習会受講者全員に修了証が発行されます.

日 時:

PSP/TSP講習会2019 2019年8月 6日(火)09:00-18:30 (08:50開場)

場 所:

LMJ東京研修センター3階大会議室

アクセス:

都営地下鉄三田線 水道橋駅下車 徒歩5分

定 員:

60 名

参加費(不課税):

可視化情報学会 正会員/賛助会員:10,000円

可視化情報学会 学生会員:5,000円

(協賛学会員は非会員です.申込み時に入会を申請し,会員価格で参加することが可能です.)

非会員一般:25,000円

非会員学生(修士まで):10,000円

(非会員価格での参加者は講習会開催後に学会に入会できます.その際,入会費と初年度年会費は無料とします.過去に入会歴のある方は対象外とします.)

クレジットカード決済または銀行振り込みによる事前支払でお願いいたします.請求書の発行も可能です.万が一ご出席がかなわなくなった場合も規定通りの参加費が発生致しますので,ご了承ください.その場合,代理の方のご参加が可能となります.

受講申込:


(社)学会支援機構による申し込みページ

からお申込下さい.

参加申込期限

PSP/TSP講習会2019 2019年7月29日(月)

連絡先:

産業技術総合研究所 染矢 聡

E-mail: s.someya@aist.go.jp

主催・協賛

主催:可視化情報学会

協賛(予定):日本原子力学会,ターボ機械協会,土木学会,日本伝熱学会,日本燃焼学会,日本流体力学会,日本混相流学会,日本液体微粒化学会

プログラム(予定):

09:00~9:30 PSP/TSP 実験入門 (講師:産業技術総合研究所 染矢 聡)

09:30~11:00 PSP/TSPハードウェア (講師:産業技術総合研究所 染矢 聡)

蛍光と燐光の基礎をはじめPSP/TSP実験の基本を丁寧に解説する.また,蛍光燐光による定量可視化やその他の光学的可視化に利用可能なハードウェアとその特徴,実際に計測を行う上で必要となる様々な実践的な注意事項を紹介する.蛍光・燐光の可視化では様々な種類の光源やカメラが活用されている.逆にいうと,新規導入を検討する際に,何に基づいて機器選定を行うと良いのかわからない,といった質問が多く寄せられている.この講習では蛍光燐光計測に用いる各種ハードウェアについて,実際に実験で活用する上での諸注意を各機器の特性に基づいて実践的に解説する.また,既存のPIV用ハードウェアをPSP/TSPに有効活用する方法についても解説する.

11:00~12:00 代表的なPSP/TSPの紹介 (講師:早稲田大学 松田 佑)

13:00~14:40 強度法と寿命法(定常計測) (講師:早稲田大学 松田 佑)

現在用いられているPSP/TSP材料について,入手しやすいものを中心に,色素とバインダーの組み合わせ例などの紹介を行う.また計測対象に応じて,適切なPSP/TSPを選択する指針を与えるために,圧力感度,温度感度や励起波長などの諸特性に関して解説を行う.
PSP/TSPについて,広く使用されている強度法に関し,計測実施時に必要な注意事項について紹介する.例えば,PSPの発光画像をどの程度の輝度分布画像としてカメラで計測すれば良いのか,精度・信頼性向上のための実用的かつ簡易的な手法など,実際に計測時に問題となる事項ついて解説する.PSPの誤差要因に関しても説明し,計測結果に与える影響の度合いや低減手法について概説する.あわせて,近年注目されている寿命法の紹介を行う.

14:50~16:00 非定常計測 (講師:東北大学 浅井 圭介)

PSP/TSPでは高感度化・高速応答化のため,これまでさまざまな工夫が行われてきた.塗膜の塗布方法の工夫が進み,加えてハードウェアの発展にも支えられ,高速な流動現象の解明のための非定常計測が可能となりつつある.この講義では,PC-PSPや陽極酸化PSPなどの高速応答PSPを用いて動的な圧力変化を画像計測することができる非定常PSP計測について解説する.

16:10~17:10 最新動向と今後の展望 (講師:東北大学 浅井 圭介)

蛍光燐光による定量可視化計測によって,世界最先端の技術レベルでは何を測れるのか,どんなことまで視えるのか,最新技術の現状と可能性についても紹介します.

17:30~18:30 PSP/TSP FastKitによる実演・技術相談 (全講師)

本講習会で講義する流れの可視化手法を企業や研究所,大学での研究に活かすため,導入から応用計測まで個々の具体事例について,講師陣がノウハウを伝授します.他の講習会や学会等ではみられない稀有なチャンスをご活用下さい.実際にPSP/TSPを使っているが上手く行かないとか,こういう計測を行いたいのだがどういうシステムが必要かなど,自由に相談して頂くことができます.

PSP/TSPを用いた実験を手軽な装置を用いて実演します.また,安価に入手可能な光源やセンサに関する情報を提供します.この実演によって,実際にどの程度の光学的な応答が得られるのか?を体感することができます.また,実演を参考にすれば,本格導入前の簡単な予備実験を行うことも可能となります.学会講演会等における機器展示では蛍光燐光実験の実演を目にする機会が全くありません.本講習会では専用キットを用いて実演します.