表彰
参加者による発表に対する投票で決定
最優秀ポスター賞(学部生)
大規模海洋シミュレーションに基づく固有渦度を用いた渦分布可視化
有田さとる,中田聡史,神阪壮哉,長谷川恭子,李亮,田中覚
最優秀ポスター賞(修士学生)
1枚のイラスト画像からの3Dモデル再構成
SHEN QIAN, 伊藤 貴之
優秀ポスター賞
次元削減技術を用いた視覚的テンソルデータ解析
藤田啓二郎,坂本尚久
ポスター発表題目
(P1) 広域データ処理パイプラインに向けた日米間in-transit可視化の実験
(PDF)
大日向大地, 鎌田めぐみ, 藤田直行
CFDなどシミュレーションの大規模化に対する可視化のアプローチとしてin-transit可視化があるが、単一の並列計算機システムに閉じたものである。可視化後の工程でデータを必要とする場所は必ずしもその並列計算機とは限らず、より広域的なデータ処理パイプラインが必要となることが予想される。そこで広域的な可視化処理の極端な例として、CFD計算を日本で実行しながら可視化を米国で行う日米間のin-transit可視化を行った。その結果として得られた知見を発表する。
(P2) 立体図形の構造理解を支援する対話的切断・観察用MRシステム
(PDF)
大滝 勇輝, 牧野 光則
本研究では、立体図形の構造理解向上を目的とする、仮想物体の切断・操作を行うMRシステムを提案する。理解にとって重要な、多種物体への対応、任意箇所での切断、及び、任意方向からの観察を同時に満たすために、予め定めた物体をCGで現実空間に重畳表示し、手指によって切断箇所を決定し、かつ、回転等の操作や視点変更に基づいて観察方向を変更する。加えて、切断時等に色や音響を付与し、視覚・聴覚的効果を付与する。
(P3) 1枚のイラスト画像からの3Dモデル再構成
(PDF)
SHEN QIAN, 伊藤 貴之
画像からの3Dモデル復元は多くの領域での課題となる.人間は明暗や影などの光学的特性から物体の奥行きを推察する能力を有する.一方で,1枚の画像から計算によって深さ情報を推定するのは容易ではなく,相応しい結果が得られない事例が多数生じている.この問題を解決するために多くの研究がなされている.その一環として本研究では,手描き画像を入力として,明暗や影などの光学特性,投影や遠近感が現実に即していないようなイラストからも,物体を認識して3 Dモデルを復元することが可能か否かを検討する.
(P4) 可視化を用いた対話型TTSモデル選択の検討
(PDF)
岡本美柚, 伊藤貴之
深層学習による音声合成手法により、TTS(Text to Speech)の研究が発展している。この技術は発声が困難である人の発話コミュニケーションの支援することができる。現状でも「Coefont」など音声モデルを選択する手法が提案されているが、それらは1つずつ音声を試聴して選択をする必要があり、ユーザの負担となることが考えられる。本研究では、可視化を用いることで、効率よくモデル推薦を行うことが期待できる。
(P5) 大規模海洋シミュレーションに基づく固有渦度を用いた渦分布可視化
(PDF)
有田さとる,中田聡史,神阪壮哉,長谷川恭子,李亮,田中覚
海洋における3次元的な渦分布を,スーパーコンピュータによる大規模海洋シミュレーションを基に,高精細かつ高速に可視化する.大規模海洋シミュレーションでは,海岸や海底といった複雑な地形を再現するため,非構造格子型データを採用している.この非構造格子型データを点群データに変換し,速度ベクトルに主成分 分析を適応させ,得た固有値を基に「固有渦度」を提案した.固有渦度を用いることにより,これまでに行われていた水平方向の潮流によって生じる渦だけでなく,鉛直方向の潮流によって生じる渦も可視化できるようになった。
(P6) 甲冑の3次元計測点群を用いたVR空間内での特徴融合可視化
(PDF)
平川 拓, 長谷川 恭子, 李 亮, 田中 覚
文化財などをデジタルデータとして保存する、デジタルアーカイブという取り組みが行われている。さらに、VR技術を用いることで文書や映像よりも視野が広がり、没入感を得ることができる。文化財の写実的なVRは多くあるが、解析の助けになるようなVRというのはまだ少ない。よって徳島城博物館に所蔵されている甲冑の点群データを用いてVR空間内で甲冑に、その輪郭を表した特徴領域を重ねて表示することのできるVRシステムを開発した。
(P7) 散布図選択による多次元データ可視化における表示順の改良
(PDF)
松尾深景, 伊藤貴之
現代社会には多くの多次元・多変数データがあり、散布図などを並べたダッシュボードによって可視化されることが多い。多次元データからは多数の散布図が生成可能であるが、そのすべてが興味深いとは限らない。そこで我々は、多次元データから生成される散布図の中から重要なものを選択する可視化手法を提案している。本報告では、その表示に際して類似度の高い散布図が近くに配置するように表示順を改良する手法を提案する。
(P8) 色と不透明度のグラデーションに基づく3 次元計測点群のエッジ強調可視化
(PDF)
山田祐里,田中覚,長谷川恭子,李亮
有形文化財を保存する取り組みとして3次元計測に基づくデジタルアーカイブの取り組みが行われている. 3次元計測で取得した点群を用いた文化財の透視可視化において、視認性を向上させるには、エッジ強調可視化が有用である。本研究では、エッジ領域において、不透明度と色の2種類のグラデーションを併用することにより、視認性向上の効果の高いエッジ強調可視化を実現した。
(P9) 競技かるたにおける払いの動作の三次元ボーン表示による可視化
(PDF)
北川リサ,伊藤貴之
競技かるたでは,構えた際の姿勢や払い方に選手それぞれの特徴が見られる. 実戦で勝ち上がるには場に配置されている 50 枚の札全てを素早く取る必要があるが,そのためには選手の取り方の特徴を分析することが不可欠である. 競技かるたに関する既存研究として,競技中の選手の脳の動きを測定したり,手首に加速度センサーをつけて払いの速度を分析する手法は用いられていたが, これらの手法では体に器具を装着して計測するため,自然な状態での計測が困難である. 本報告では, Google が開発した Mediapipeを使用して動画から抽出した骨格情報を用いて,読まれた札に対しての全身の動き方を分析するための三次元ボーンを表示し,複数の選手の動作を比較できる可視化システムを提案する.
(P10) 等高線ナビゲーションを導入した當麻寺西塔の高品質点群VR観覧システム
(PDF)
小柴雄人, 長谷川恭子, 李亮, 田中覚
本研究では3次元計測点群を用いた當麻寺西塔(国宝)のVRシステムを作成する.本システムでは複数パターンの点群を用いたLoDとポイントサイズの動的変更を組み合わせ,距離に応じた適切な点群を可視化する.これによって3次元計測点群の弱みであるデータの重さを解消しつつ高品質なVR観覧体験を実現する.加えて當麻寺西塔の持つ高さのある建築物である点や昇降移動可能である点を活かすため等高線ナビゲーションを導入し,直感的な構造把握と昇降時の位置把握を実現する.
(P11) 次元削減技術を用いた視覚的テンソルデータ解析
(PDF)
藤田啓二郎,坂本尚久
様々な要因により計測データの大規模化が進んでおり,これらのデータから知見を得るための分析手法への要求が高まっている.
本研究では,多変量時系列データをテンソルデータとして表現し,内在する特徴構造を効果的に視覚化することによって理解するための視覚的分析法を提案する.
提案手法を実装したプロトタイプシステムを構築し,スーパーコンピュータログデータを使って実験を行い提案手法の有効性を確認した.
(P12) 大規模イベント会場における人流の可視化手法
(PDF)
森越彩楓, 大西正輝, 伊藤貴之
感染症は感染者との接触によって広がるため,コロナ禍で安全に大規模イベントを開催するには会場の混雑緩和が重要である.そこで人の流れを可視化することで,近接の発生状況を理解することが必要であるが,大規模な人流データの可視化において,人の近接にもとづいた手法は少ない.本研究では近接状況を近接が発生した歩行者間を連結してできるネットワークとして可視化する手法を提案する.さらに具体例として,イベント会場で計測された実際の人流データに本手法を適用した結果を報告する.
(P13) 中国語と日本語の同形異義語の意味の違いの可視化
(PDF)
HAN HE,伊藤貴之
中国語も日本語には多くの漢字があり,同じ漢字を用いた熟語も多数ある.例えば「検討」「質問」「連想」が該当する.一方で,同じ漢字の熟語でも中国語と日本語で同じ意味になるとは限らない.このような単語は同形異義語(homographs) と呼ばれる.本研究では,中国語と日本語の同形異義語の意味の違いのパターンを可視化によって発見することを目標とする.
本研究は3つのステップで構成される.まず,中国語と日本語の同形異義語とその意味を列挙する.次に,SimCSEモデルを用いて,これらの意味を表す「文埋め込み」を形成する.そしてこれらの「文埋め込み」を次元削減し,可視化する.本研究では可視化結果からいくつかの事例を紹介する.
(P14) 姿勢推定により腕の動きをアバターに同期させる仮想ライブシステム
(PDF)
石田祐輝,宮地英生
バーチャルイベントでは参加者のアバターがペンライトを振るなどのアクションで会場を盛り上げ,参加者は一体感を得る.しかし,音楽ライブのリアルな熱量が再現できず,つまらなかったと感じられるとの指摘がある.本研究では,盛り上がりや一体感を高めるために,参加者の腕の動きを直接アバターにマッピングするシステムを開発した.別途,ボタン操作のシステムも開発し,被験者試験をした.その結果,提案システムはボタン操作のシステムに比べてイベントを盛り上げ,違和感の無いペンライト操作を被験者に提供できることが確認された.
(P15) 戦艦大和の水中画像に対する色調補正
(PDF)
山本佑, 馬場雅志
呉市海事歴史科学館による潜水調査によって水中で撮影された戦艦大和の画像は、海水による光の散乱・吸収の影響で戦艦大和の本来の色とは異なる色で写ってしまっていた。そこで今回、撮影された画像から物体の特徴点とカメラ位置を復元し、復元された特徴点やカメラ位置などの情報から海水の散乱・吸収パラメータを推定してそれらを用いて画像の色調補正を行い,戦艦大和の正しい色を復元する。